ESG

環境

脱炭素社会の実現

基本的な考え方

リゾート事業を行う私たちにとって、美しい自然環境は最も魅力のあるかけがえのない財産です。美しい自然の風景をいつまでも保つために、気候変動対応や環境資源の持続的利用など、自然環境とともに生きていくことを使命に企業活動を行っています。
当社グループでは、これまでも気候変動への取り組みとして、再生可能で自然にやさしいクリーンエネルギーである太陽光や、水力による発電を行ってきました。新たに着工する「サンクチュアリコート琵琶湖」においては、太陽光発電設備によって、日中の消費電力のおよそ80%相当を自家発電で賄う見込みです。
当社グループでは、こうした再生可能エネルギーの活用の取り組みを通じて、グループの事業活動に伴い排出されるCO2削減の中長期的な目標を定め、事業を通して持続可能な社会(サステナビリティ)の実現に貢献できるよう、取り組みを推進していきます。

TCFD提言に基づく情報開示

気候変動は、自然環境や社会ならびに当社グループの事業に大きな影響を及ぼす重要な問題の一つです。当社グループでは、社会とともに持続的に成長するために取り組むべき重要課題(マテリアリティ)の一つとして、気候変動対策のための「CO2排出量の削減」を掲げ、「環境方針」に基づき、事業活動を通じたCO2排出量削減に取り組んでいます。
また、気候変動に関連するリスクと機会が経営に与える財務影響の評価・開示を推奨するTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に2022年度に賛同しました。

TCFD

ガバナンス

当社グループは、持続可能な社会の実現へ貢献するとともに、中長期的な企業価値の向上を目指すため、2022年4月にサステナビリティ経営の推進機関として、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置、グループ全体のサステナビリティ戦略を計画、実行しています。また、同委員会の事務局を担うとともに、リゾートトラストグループのサステナビリティに関わる方針の策定や計画立案、施策の実行を統括する組織として「サステナビリティ推進部」を設置しています。
「サステナビリティ委員会」では、定期的に、気候変動をはじめとするサステナビリティ課題への対応計画や進捗について、重要事項の審議・報告を行います。同委員会における審議の内容は取締役会にて報告され、特に重要な事項については、取締役会に付議し、審議・決定を行います。
気候変動に関しては、同委員会にて既存事業へのリスク・機会を踏まえた施策の立案や、温室効果ガスの中長期削減目標の検討を行っており、本委員会で承認された施策の実行は、当社グループ各社とともに具体的な活動・検討を進めています。

戦略

気候変動のリスク・機会に関するシナリオ分析

当社グループの事業に関連する気候変動リスクと機会およびその影響の大きさについて、「1.5℃シナリオ」「4℃シナリオ」という2つのシナリオのもと、TCFD提言におけるリスクの分類に沿って「短期(~2024年度)」「中期(~2030年度)」「長期(~2050年度)」の時間軸で検討しました。

想定したシナリオ

シナリオ 概要 参照した主な外部シナリオ
1.5℃シナリオ 2050年カーボンニュートラルに向けて、政策・規制導入や市場変化が急速に進行することで、地球の平均気温上昇が1.5℃に抑えられる。
  • IEA(国際エネルギー機関)Net Zero by 2050シナリオ
  • SSP1-2.6シナリオ

など

4℃シナリオ CO2排出削減に向けた政策・規制や社会の取り組みが進まず、地球の平均気温上昇が4℃となる。災害などの気候変動による影響が甚大化する。
  • SSP5-8.5シナリオ

など

リスク・機会の概要と事業および財務への影響

当社グループにおいて相対的に重要な項目と財務影響および対応戦略は下表の通りです。各リスク・機会による財務影響の大きさは、費用へのインパクトや事業戦略およびブランド・企業価値への影響、人命への影響の面で定性的に評価し、小・中・大で表示しています。

脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会(1.5℃シナリオ)

分類 想定したシナリオの概要 当社グループの事業における
リスク・機会/財務影響
時間軸 財務影響の大きさ 対応戦略
短期 中期 長期
政策・法規制 当社およびサプライチェーンにおける温室効果ガス排出に対する炭素価格の導入・強化
2030年:130$/t CO2
2050年:250$/t CO2
リスク
  • 当社の事業を通じた排出量やアメニティなどの調達品に対し、炭素価格がかかることで操業コストが増加
中~長期
  • 温室効果ガスの排出削減目標・削減計画の設定
  • 省エネ、再生可能エネルギーの導入、電化、電気自動車導入などの排出削減対策の検討・推進
  • サプライチェーンの温室効果ガス排出量の把握およびサステナブル調達
ホテルやシニアレジデンスなどの建設・大規模改修時の省エネ性能の基準の強化 リスク
  • 省エネ性能を満たすための建設コストの増加
中~長期
  • 規制動向のモニタリング、施設のメンテナンスによる大規模改修の回避
排出削減の一環として、プラスチック資源や食品廃棄物などの資源循環関連の規制の強化 リスク
  • ホテルやリゾート施設を中心に、廃棄物の削減・循環に関する対応コストの増加
中~長期
  • アメニティなどのプラスチック削減やフードロス削減への取り組み、「ECOステイ」の提案の推進
技術 カーボンニュートラルに向けた排出削減強化のための技術導入の必要性 リスク
  • 再生可能エネルギーの導入、再エネ電力の調達、省エネ性能の高い設備の導入、エネルギー転換などのコスト増加
短~長期
  • 排出削減の費用対効果の高い取り組みを優先的に推進
市場 顧客や利用者における気候変動への危機感・関心の高まりによる価値観・選好の変化 リスク・機会
  • 温室効果ガス排出削減への取り組みの有無による、利用者にとっての魅力度への影響
短~長期
  • 温室効果ガス排出削減に向けた積極的な取り組みの推進
  • 気候変動への取り組みの具体的・効果的な広報
評判 投資家やスタッフ、採用応募者における気候変動への関心の高まり 機会
  • 気候変動への積極的な取り組み・開示による投資家・金融機関からの評価向上、人材採用・定着への好影響
短~長期
  • 温室効果ガス削減に向けた積極的な取り組みの推進と情報開示
  • 気候変動への取り組みの社内外への広報・情報共有の強化

気候変動の物理的な影響によるリスク・機会(主に4℃シナリオ)

分類 想定したシナリオの概要 当社グループの事業における
リスク・機会/財務影響
時間軸 財務影響の大きさ 対応戦略
短期 中期 長期
急性 洪水や猛烈な台風、豪雨の頻度の増加、土砂災害の危険性の高まり リスク
  • 自然災害による、施設などのプロパティ損害、事業停止による利益損害、スタッフの出社困難
  • 食材やアメニティなどの調達困難、交通インフラの混乱
短~長期
  • 各施設のリスクの把握およびリスクに応じた対策の検討・推進
  • 施設立地における災害リスクの考慮
  • 調達先の分散
  • 備蓄品の確保や避難体制の整備
慢性 著しい気温上昇および頻繁な猛暑・熱波の発生 リスク
  • 施設利用者やスタッフにおける熱中症リスクの増加、就業環境の悪化
中~長期
  • 施設における環境のモニタリング、ヘルスケアDXの活用などを含む熱中症対策の強化
機会
  • 避暑地を中心としたリゾート施設の需要の増加
中~長期
  • ニーズに応じた広報・販売の強化
海面上昇、
高潮の危険性の増加
リスク
  • 施設などのプロパティ損害、事業停止による利益損害
長期
  • 災害リスクの把握・リスクに応じた対策の検討・推進

リスク管理

当社グループでは、「リスクマネジメント基本方針」を策定し、全ての事業活動を対象としたリスクマネジメント体制を整備し、運用しています。
また、気候変動関連リスクについては、事業活動に大きな影響を及ぼすとの認識の下、サステナビリティ推進体制においてシナリオ分析を実施し、当社グループの財務影響、事業戦略および企業価値への影響を定性的に評価した上で、相対的に重要なリスクを特定しています。
特定した気候変動関連リスクに対しては、社会動向も踏まえた対策を検討し、その内容・有効性について「サステナビリティ委員会」で報告・審議を行っています。審議・決定した対策は、リスクマネジメントのプロセスを通じ、グループ全体で推進しています。特に、急性の物理的リスクについては、お客様およびスタッフの安全確保や、事業のバックアップ対策を施すとともに、緊急事態発生時の行動指針や連絡・初動体制、事業継続計画(BCP)などについても整備しています。移行リスクについても、排出コストの増加を抑制するために、全社的な温室効果ガス排出量の削減を進めています。
今後も、事業戦略に影響する気候変動を含めた社会動向や、法律・規制の変更といった外部要因、グループ各社の対応状況などの内部要因も踏まえて、リスクへの対応戦略・施策を検討していきます。

指標と目標

当社グループは、かねてよりCO2の排出量を測定・公表していましたが、サステナビリティ推進体制の発足とともに2019年度以降のグループ全体の排出量を測定しました。
今後は、Scope1+2において、2030年度に2019年度比40%削減、2050年度に排出量ゼロを目標に掲げ、排出削減に向けた取り組みを行っていきます。

CO2排出量の削減への取り組み

再生可能なクリーンエネルギー

当社グループの国内37拠点に太陽光発電設備の設置方針を決定

当社グループは、2030年までに2019年度対比40%減、2050年までにカーボンニュートラルというGHG排出量削減目標のために、国内全ての会員制リゾートホテル拠点と、全てのグループゴルフ場、合わせて37拠点に太陽光発電設備を設置する方針を決定しました。投資額はおよそ20億円規模を見込みます。2022年度以降、順次各拠点の条件に合わせて建物屋上や駐車場の屋根などに太陽光発電設備の導入を進め、発電した電力自家消費することで、環境負荷への低減を図ります。2024年10月に開業予定の「サンクチュアリコート琵琶湖」においては、ホテルの屋上と駐車場に設置し、日中の消費電力を自家発電で賄う見込みです。

太陽光発電の活用

上記の太陽光発電の設置方針を踏まえ、第一弾の「グランドエクシブ浜名湖」に続き、2023年10月時点で「エクシブ六甲サンクチュアリ・ヴィラ」「エクシブ山中湖」「エクシブ湯河原離宮」への設置を完了しています。浜名湖では日中にホテルで使用する電力の約30%を賄い、地球に優しく、自然と共存する施設運営を行っています。また、2023年5月に「グランディ浜名湖ゴルフクラブ」で開催したゴルフトーナメント「リゾートトラストレディス」では、場内で使用するカートにもその電力が供給され、車体へのステッカー貼付やパンフレット掲載等で来場者の皆様にも周知をしました。また同トーナメントでは、「グリーンキャンペーン」として、開催県下の緑化事業団体に毎年寄付を行うことで、地域の緑化推進にも貢献しています。

太陽光発電_航空写真_ゴルフカート_ステッカー

「グランディ那須白河ゴルフクラブ」の隣接地にある「リゾートトラスト メガソーラー那須白河」では、2014年3月から発電を開始しています。発電出力は約2,000kWと一般的な住宅用ソーラー発電設備の500倍に相当し、敷地面積255,000㎡の中に太陽光パネル8,320枚が設置されています。大きな特徴の一つは、電気自動車用の非常用充電設備があることです。送電が止まるような災害時に救助車両となり得る電気自動車へ発電した電力を供給できるように設計されています。

リゾートトラスト メガソーラー那須白河

メガソーラーの現在の発電量を示すディスプレイ。杉の木に換算したCO2削減量も表示されています。

リゾートトラスト メガソーラー那須白河

「エクシブ那須白河」のロビーに設置されているモニターでも、メガソーラーの発電量が確認できます。

水力発電の活用

「エクシブ湯河原離宮」では、マイクロ水力発電を行っています。ホテルの周囲にある水路の高低差を利用して発電しており、自然が蓄えている水の力を利用して作る、自然にやさしいクリーンなエネルギーです。

マイクロ水力発電

低公害車(エコカー)の導入

当社では、本社・支社で使用している車の約80%が地球環境に配慮した低公害車(エコカー)です。

低公害車(エコカー)

低公害車(エコカー)